記号の世界ゟ

このブログでは, 数学書などの書評を書きます。また、受験などの勉強法をまとめます。

微分ガロア理論

解けるの三様~可積分系を学ぶ際の注意点~

数学において、「~は解ける」「~は解けないと証明されている」などと気軽に言われます。例えば、「三体問題は解けないと証明されている」などです。しかし、「解ける」はいろんな意味で使われることが多く、定義を確認しておかないと、ほぼ情報のない文章…

Picard-Vessiot拡大の存在証明

代数的なガロア理論におけるガロア拡大は,微分ガロア理論ではPicard-Vessiot拡大と呼ばれるものになります.特に拡大で定数体が変わらないことが重要なのですが,その部分の証明で普通の微分ガロア理論の本ではシュバレーの定理を用いることがほとんどです…

解ける線形微分方程式の話

微分ガロア理論では初等関数が扱えます.その定義はわりとわかりやすいのですが,さらに微分ガロア理論的にはLiouville拡大の方が重要な関数のクラスを定めています。しかし,その定義は初見では分かりにくいため,その意味を解説します. Liouville拡大 解…

対数関数の超越性

対数関数 は有理関数を係数に持つ多項式の零点にならない.つまり,対数関数は超越関数である.超越関数であることの証明方法はいくつかあると思うが,微分代数の基本的な命題から簡単に証明できることが気がついたので紹介する.どこか議論がおかしければ誰…

数学のpdfを書いています

書きながら公開している数学のpdfをブログでも見れるようにしようと思います。・微分ガロア理論入門 微分ガロア理論をほとんど前提知識を仮定せず解説しています。 微分ガロア理論入門 - Google ドライブ微分ガロア群を定義したところまで進んでいます。次は…

Liouvilleの定理の証明

今回はついにLiouvilleの定理の証明をします。以前の結果を使ったり、少し面倒な補題が必要になるので、証明のアイデアがわかることを重視して書こうと思います。 の不定積分が書けないことの証明は、以下の記事を参考にしてください。 http://tetobourbaki.…

ライプニッツ則と合成関数の微分

ライプニッツ則と合成関数の微分の関係について、少し書いておきます。 一般の体 を考えます。この体が微分体であるとは、関数 があり、以下の2つの条件を満たすことを言います: (i) (加法的) すべての に対して が成り立つ。 (ii) (ライプニッツ則) すべて…

微分環と双対数

微分環は、環の構造に加えて微分を考えているものでした。双対数を用いると、微分環は単なる環の議論に言い換えることができるということを知りました。けっこう感動したので、まとめておこうと思います。 双対数の定義 微分環と双対数 双対数の応用:微分を…

微分体の応用(Schanuel予想もあるよ)

今回は微分体の応用として、と が有理関数体 上で超越的であることを見ていきます。 実は、今回の内容はLiouvilleの定理の証明の準備になっています。 (というより、Liouvilleの定理の証明が大変なので、記事を分けることにした次第です。) おまけとして、と…