記号の世界ゟ

このブログでは, 数学書などの書評を書きます。また、受験などの勉強法をまとめます。

物理学

BCH公式をMould解析で証明する

指数関数の公式 がありますが,行列のように が可換でないときにはこの公式は成り立ちません. がどのようになるかを教えてくれるのがBaker–Campbell–Hausdorffの公式(BCH公式)です.(正確には,式を陽に書き下したディンキンの公式を扱います.)証明は…

三体問題を解く(正三角形解と共線解)

前回、二体問題はケプラー問題に帰着されることとケプラー問題は解けることを見ました. tetobourbaki.hatenablog.com三体問題は一般には解けませんが,解ける解として正三角形解と共線解(直線解と言われることが多い)が知られています.下の動画ではこれ…

二体問題を解く話(四元数の応用)

二体問題は解けて三体問題は解けないと言いますが,二体問題の解法の一つを紹介します.これは三体問題に関する次の記事の準備というのが最大のモチベーションです。せっかくなので以下の論文で紹介されている四元数を使った解法を説明します. Jan Vrbik, "…

理想的な物理理論としての電磁気学

この記事は以下の一連の記事の最終回ですが,今回の内容が目標だったので,できるだけこれまでの記事を読まなくても理解できるように説明していく. tetobourbaki.hatenablog.com tetobourbaki.hatenablog.com tetobourbaki.hatenablog.com tetobourbaki.hat…

理想的な物理理論としての電磁気学(4)

以下の記事の続きです. tetobourbaki.hatenablog.com一連の記事の目的としては,あとはゲージ変換やゲージ不変性について説明すれば終わりです.参考にしている牟田『電磁気学』では非相対論的な電子の場を使って議論をしているため,これと同じ説明をする…

理想的な物理理論としての電磁気学(3)

ラグランジュ密度を用いて微分方程式を出す方法とその利点をまとめていきます. 以下の記事の続きです. tetobourbaki.hatenablog.com今回はコッティンガム,グリーンウッドの『素粒子標準模型入門』を参考にしています. 連続系のラグランジュ形式 ローレン…

理想的な物理理論としての電磁気学(2)

今回は以下のブログの続きで、相対性理論に関連することをまとめる. tetobourbaki.hatenablog.com ローレンツ変換 テンソル ローレンツ共変性 共変形式のマクスウェル方程式 ローレンツ変換 物理学では,「座標が変わっても法則の形は変わらない」という信…

理想的な物理理論としての電磁気学(1)

物理学の様々な分野を勉強する上で,電磁気学は理論のお手本として提示されることが多い.つまり,成功した理論である電磁気学との類推で新しい理論の方針を決めるという場面が非常に多い.そのため,電磁気学のどこを見て成功している理論と呼んでいるのか…