今回は磯崎洋『求積法の先にあるもの 微分方程式は解ける』を紹介します。
簡単に読めるが、なかなか難しいことまで書いてる良書です。
- 作者: 磯崎洋
- 出版社/メーカー: 数学書房
- 発売日: 2015/03/15
- メディア: 単行本
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内容紹介
先生と生徒の対話形式で進んでいきます。
そのため、式の解釈や、問題を解く時の考え方が分かるようになっています。
1章では、簡単な常微分方程式や偏微分方程式の解き方を紹介しています。
積分因子をきっかけにして、常微分方程式を解くことと1階の偏微分方程式が対応することを簡単に紹介しています。
最後に、応用として包絡線の求め方を説明しています。
2章は、常微分方程式と1階の偏微分方程式の対応をきちんと理解することがテーマです。
接空間、第一積分、初期値問題など、微分方程式で必須の概念が紹介されます。
その後、特性方程式や成帯条件がどのように解釈できるかを説明し、常微分方程式を解くことと1階の微分方程式を解くことが明らかになります。
その応用として、ハミルトン系を偏微分方程式に帰着させて解く手法であるハミルトン・ヤコビの理論が説明されます。
3章は解析力学です。
微分形式、余接空間、共変ベクトル・反変ベクトルなどが丁寧に説明されています。
そして、ハミルトン系とラグランジュ系の説明に入ります。
特に、正準変換やその母関数が詳しく説明されています。
4章は、これまでのことを幾何光学に応用することがテーマです。
反射や屈折、ホイヘンスの原理が、これまでの知識を使うと説明できることが明らかになります。
その後、シュレディンガー方程式をきっかけに経路積分まで紹介されています。
読んだ感想
細かいところまで厳密に書かれてはいないが、引っかかりやすい場所が丁寧に説明されています。
微分方程式という分野は、陰関数定理が必要なところを中心に、理論的に考えると結構面倒なところが多いです。
しかし、必要な注意がきちんとありつつも、ほどよいところで止めてくれるため、すいすい読み進めることができます。
ただし、すごく細かいところまでは書いてないため、自分で手を動かしてみないとなかなか理解できないでしょう。
自分で計算しないとダメな部分に、わざとギャップを置いている感じがあります。
本当に簡単な本には書いていないことが書いてあります。
難しい本にしか書いてものも、分かりやすく書いてあるので非常に良かったです。
特性方程式やハミルトン・ヤコビがスッと理解できたことが個人的な収穫でした。
母関数も、こんな簡単だったんだなあ、と考えながら読んでました。
4章まだ理解できていない部分が多いのでまた読もうと思います。
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