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記号の世界ゟ

このブログでは, 数学書などの書評を書きます。また、受験などの勉強法をまとめます。

ライプニッツ則と合成関数の微分

ライプニッツ則と合成関数の微分の関係について、少し書いておきます。


一般の体  Kを考えます。この体が微分体であるとは、関数  \partial: K \to Kがあり、以下の2つの条件を満たすことを言います:
(i) (加法的) すべての a ,\, b \in K に対して  \partial (a + b) = \partial (a) + \partial (b)が成り立つ。
(ii) (ライプニッツ則) すべての a ,\, b \in K に対して  \partial (ab) = \partial (a) b  + a\partial (b)が成り立つ。


さて、ライプニッツ則から商の微分などの公式を導くことができます。一方、微分体には「合成関数」の概念がないので、合成関数の微分は定義できません。しかし、多項式は定義できるので、多項式に代入するという見方をすることはできます。例えば、 a^2 + a + 1多項式  a^2 + a + 1aを代入したものとみなすことができます。そうすると、多項式の合成関数の微分公式は証明することができます。つまり、微分体に対して、
(iii) すべての  a \in K自然数  nに対して、 \partial (a^n) = n a^{n-1} \partial (a)
が成り立ちます。一般の多項式微分は(i)と(iii)で計算ができます。
逆に多項式の合成関数の微分公式からライプニッツ則を導くことができます。

命題
K標数0の体とする。また、関数  \partial: K \to Kがあり、(i) を満たすとする。このとき、以下の3条件は同値:
(ii) (ライプニッツ則) すべての a ,\, b \in K に対して \partial (ab) = \partial (a) b  + a\partial (b)が成り立つ。
(iii) すべての  a \in K自然数  nに対して、 \partial (a^n) = n a^{n-1} \partial (a)
(iv) すべての  a \in Kに対して、 \partial ( a^2 ) = 2 a \partial (a)

証明. (ii)から(iii)が成り立つことは上で述べたが、簡単な計算でわかる。(iv)は(iii)で n = 2としたときである。
よって、(iv)から(ii)が導けることを示す。 (a + b)^2微分を考えると、
 \partial ( (a+b)^2) = \partial (a^2 + 2ab + b^2) = \partial (a^2) + 2\partial (ab) + \partial (b^2) = 2a\partial(a) + 2 \partial (ab) + 2b\partial (b)
最後の等式で(iv)を用いた。一方、最初に(iv)を使うと、
 \partial ( (a+b)^2) = 2(a+b) \partial(a+b) = 2(a+b)(\partial (a) + \partial (b)) = 2a\partial(a) + 2a\partial (b) + 2b\partial(a) + 2b\partial (b)
となる。よって、(ii)が成り立つことがわかる。


例えば、標数が2だと、 2\partial (ab) = 0となるので(ii)を導くことができません。細かい注意です。
(iv)からライプニッツ則(ii)が出てくるというのも面白いですが、合成関数の微分から出てくるという見方をするともっと面白いかなと思い、書いてみました。