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記号の世界ゟ

このブログでは, 数学書などの書評を書きます。また、受験などの勉強法をまとめます。

Liouvilleの定理の証明

今回はついにLiouvilleの定理の証明をします。以前の結果を使ったり、少し面倒な補題が必要になるので、証明のアイデアがわかることを重視して書こうと思います。
e^{x^2}の不定積分が書けないことの証明は、以下の記事を参考にしてください。
tetobourbaki.hatenablog.com
(以前書いていたLiouvilleの定理は意味のない主張になっていました。Liouvilleの定理は今回のものを参考にしてください。Liouville判定法は以前のもので正しいです。)

Liouvilleの定理の主張

Liouvilleの定理(素朴な主張)
 y_1 ,\, \dots ,\, y_n \displaystyle \frac{d y_1}{dx} ,\, \dots ,\, \frac{dy_n}{dx}x,\, y_1 ,\, \dots ,\, y_mの有理関数になるようなxの関数とする。

 F(x ,\, y_1 ,\, \dots ,\, y_n) x ,\, y_1 ,\, \dots ,\, y_nの有理関数とする。
このとき、 以下が同値である:
(i) F(x ,\, y_1 ,\, \dots ,\, y_n) の原始関数が初等関数で書ける
(ii) 複素定数 c_1 ,\, \dots ,\, c_m \in \mathbb{C}と有理関数
 G_1 (x ,\, y_1 ,\, \dots ,\, y_n) ,\, \dots ,\, G_m (x ,\, y_1 ,\, \dots ,\, y_n) ,\, H (x ,\, y_1 ,\, \dots ,\, y_n)が存在して、
 { 
\displaystyle
\begin{equation}
\qquad F(x ,\, y_1 ,\, \dots ,\, y_n) = \sum_{j=1}^n c_j \frac{\frac{d}{dx} G_j (x ,\, y_1 ,\, \dots ,\, y_n) }{G_j (x ,\, y_1 ,\, \dots ,\, y_n)} + \frac{d}{dx} H(x ,\, y_1 ,\, \dots ,\, y_n) 
\end{equation}
}
と書ける。

少し分かりにくいですね。例えば、 \displaystyle \frac{e^x}{1 + \log x}の原始関数が初等関数で書けるかを調べたいなら、

\displaystyle
\qquad y_ 1 = e^x ,\, y_2 = \log x ,\, F(x ,\, y_1 ,\, y_2) = \frac{y_1}{1 + y_2}
とおけば、

\displaystyle
\qquad \frac{d y_1}{dx} = e^x = y_2 \in \mathbb{C} (x ,\, y_1 ,\, y_2)  ,\quad \frac{d y_2}{dx} = \frac{1}{x} \in \mathbb{C} (x ,\, y_1 ,\, y_2)
より、Liouville判定法を使うことができます。
 y_1微分 \mathbb{C} (x ,\, y_1 ,\, \dots ,\, y_n )に含まれない場合があります。その場合は変数 y_{m+1}を増やさなければ、Liouville判定法が使えません。 しかし、変数を増やすと、判定で現れる G_1 ,\, \dots ,\, G_m ,\, Hのクラスが大きくなるので、判定が難しくなることにも注意してください。


さて、ここで問題になるのは「初等関数とは何か」です。まず、微分体の定義を復習しましょう。体 K微分体であるとは、写像  \partial : K \to Kが存在し、
(1) 線型性、つまり、  \partial (a + b) = \partial (a) + \partial (b)
(2) ライプニッツ則、つまり、 \partial(ab) = \partial (a) b + a \partial (b)
を満たすことを言うのでした。単に、\partial (a) a^{\prime}とも書くことがあります。また、 \partial (c) = 0となるものの集まりを定数体と言います。今回の話では、有理関数体  \mathbb{C} (X)に対して普通の意味での微分を考えたものを Kとして、微分体の結果を適用します。


次に、「初等関数」を以下のように定義します。

定義(初等拡大)
微分体の拡大K \subset Lが初等拡大であるとは、拡大の列
\displaystyle
\qquad K = K_0 \subset K_1 \subset \dots \subset K_N = L
が存在し、 各拡大が単拡大 K_{i+1} = K_i (a_i) ,\, a_i \in K_iでそれぞれ以下のいずれかの場合になっていることをいう:

 (a)  a_iK_i上代数的、つまり、 a_iK_i係数の多項式の根である;
 (b)  a_iK_iの元の対数、つまり、ある元  b_i \in K_iが存在し   \displaystyle (a_i)^{\prime} = \frac{(b_i)^{\prime}}{b_i}となる。
 (c)  a_iK_iの元の指数、つまり、ある元  b_i \in K_iが存在し  \displaystyle \frac{(a_i)^{\prime}}{a_i} = (b_i)^{\prime}となる;
特に、K = \mathbb{C} (X)のとき、ある初等拡大K \subset LLの元を初等関数という。
(b)の場合の拡大を対数拡大、(c)の場合を指数拡大と呼ぶことにします。

この定義については以下の記事で詳しく書きました。僕は、この定義を納得することが、一番難しいと思います。
tetobourbaki.hatenablog.com
また、微分体の拡大については、定数を増やさないもの考えることが一般的です。これについては以下の記事に書いています。定理の証明では、この記事に書いた結果も使います。
tetobourbaki.hatenablog.com


以上より、Liouvilleの定理は微分体の言葉で以下のように書きなおすことができます。

Liouvilleの定理(微分体による定式化)
 K標数0の微分体で、 C Kの定数体とする。また、 a \in Kとする。
このとき、以下が同値である。

(i) 定数体が Kの定数体  Cと等しい微分体による初等拡大
 
\qquad K = K_0 \subset K_1 \subset \dots \subset K_{N-1} \subset K_N
が存在し、 b^{\prime} = aとなる  b \in K_Nが存在する。

(ii) 定数 c_1 ,\, \dots ,\, c_n \in Cg_1  ,\, \dots ,\, g_m ,\, h \in Kが存在して、
 { 
\displaystyle
\begin{equation}
\qquad a = \sum_{j=1}^m c_j \frac{g_j^{\prime} }{g_j } + h^{\prime}
\end{equation}
}
と書ける。

この定理のすごいところは、拡大した後の性質が、拡大する前の Kの元同士の関係で書けているところです。
次にLiouvilleの定理の証明に用いる補題を紹介します。

補題
微分体の拡大 L = K(l)において、 l K上で超越的であるとする。 a[ l ] \in K[ l ]  q_1 (l) ,\, \dots ,\, q_m (l) ,\, r(l) \in K(l)を用いて、
 { 
\displaystyle
\begin{equation}
\qquad a(l) = \sum_{j=1}^m c_j \frac{q_j^{\prime} (l) }{q_j (l)} + (r(l))^{\prime} \quad (1)
\end{equation}
}
と書けるとする。 q_i (l) \neq q_j (l) ,\, i \neq jとしておく。(一般性を失わない。)このとき、 q_i (l)がモニックな既約多項式 (q_i (l) )^{\prime} \in K [l]なら、 (q_i (l) )^{\prime}  q_i (l)で割り切れる。
(証明)
 (q_i (l) )^{\prime}  q_i (l)で割り切れないと仮定する。式(1)の部分分数分解を考え、その一意性を用いる。\sum_{j=1}^m c_j \frac{q_j^{\prime} (l) }{q_j (l)}に現れる \frac{q_i^{\prime} (l) }{q_i (l)}は分母が既約多項式 1乗である。一方、 r(l)の規約分解に \frac{p(l)}{(q_i (l))^d}という項がある場合、 (r(l))^{\prime}には

\displaystyle
\qquad \frac{-d p(l)(q_i (l) )^{\prime} }{(q_i (l))^{d+1}} + \frac{(p(l))^{\prime} }{q_i (l)}
という項が現れる。つまり、既約多項式 (q_i (l))  d+1 (\geq 2 )乗の項が現れる。よって、式(1)の右辺には分数が必ず現れるが、左辺は分数がないので、一意性から矛盾。よって、 (q_i (l) )^{\prime}  q_i (l)で割り切れる。

Liouvilleの定理の証明

( (ii)  \Rightarrow (i) ) は
 
\qquad (\sum_{j=1}^m c_j \log g_j + h )^{\prime} = \sum_{j=1}^m c_j \frac{g_j^{\prime} }{g_j } + h^{\prime} = a
より分かる。
( (i)  \Rightarrow (ii) ) は初等拡大の列の長さに関する数学的帰納法により示す。
 N = 0のとき、 b \in K_0 = K a = b^{\prime}と書けるので(a)が成り立つ。次に、初等拡大の列、
 
\qquad K = K_0 \subset K_1 \subset \dots \subset K_{N-1} \subset K_N
を考えたとき、 a \in K \subset K_1に注意すると、帰納法の仮定より、
 
\qquad K_1 \subset \dots \subset K_{N-1} \subset K_N
に対して(ii)が成り立つので、定数 c_1 ,\, \dots ,\, c_n \in Cg_1  ,\, \dots ,\, g_m ,\, h \in K_1が存在して、
 { 
\displaystyle
\begin{equation}
\qquad a = \sum_{j=1}^m c_j \frac{g_j^{\prime} }{g_j } + h^{\prime}\qquad (2)
\end{equation}
}
と書ける。この式を用いて、初等拡大  K_1 = K (l)のそれぞれの場合で(ii)を示せばよい。


(a)  l K上で代数的となるとき。
この場合は体の理論を用いる。
 K代数閉体 Lとする。 l n次の代数的な元とすると、ちょうど n個のK上の埋め込み \sigma_i : K(l) \to Lが存在する。これは  K上の自己同型  L \to Lに延長できる。
ここで、微分代数に関する以下の基本的な定理を用いる。つまり、 K微分体で L \supset Kが代数拡大なら、 Kへの制限が K微分と一致する L微分が唯一に決まる。(つまり、 L \supset K微分が一意に定まる。)そこで、 L上の微分 \partialとする。さらに、写像  \sigma_i \circ \partial \circ \sigma_i^{-1} : L \to L L上の微分であることが計算で分かるので、微分が一意であることから、

\qquad  \sigma \circ \partial \circ \sigma^{-1} = \partial
つまり、

\qquad  \sigma \circ \partial  = \partial \circ \sigma_i
となり、すべての \sigma_i微分 \partialと可換である。式(2)に \sigma_jを作用させると、 \sigma_iが準同型かつ微分と可換だから
 { 
\displaystyle
\begin{equation}
\qquad a = \sum_{j=1}^m c_j \frac{(\sigma_i (g_i) ) ^{\prime} }{\sigma_i (g_j) } + ( \sigma_i (h)  ) ^{\prime}
\end{equation}
}
となる。すべての iに関して得られるこの式で両辺の和をとると、
 { 
\displaystyle
\begin{equation}
\qquad n a = \sum_{j=1}^m c_j \sum_{i=1}^n \frac{ (\sigma_i (g_j)) ^{\prime} }{\sigma_i (g_j) } + \sum_{i=1}^n (\sigma_i (h) ) ^{\prime}
\end{equation}
}
であり、対数微分の公式(この公式自体は対数を使わずとも示せる)
 
\displaystyle
\qquad \sum_{i=1} \frac{(t_i)^{\prime}}{t_i} = \frac{(\prod_{i=1}^n t_i)^{\prime}}{\prod_{i=1}^n t_i}
に注意すると、
 { 
\displaystyle
\begin{equation}
\qquad n a = \sum_{j=1}^m c_j \frac{(\prod_{i=1}^n \sigma_i (g_j ) )^{\prime} }{\prod_{i=1}^n \sigma_i (g_j) }+( \sum_{i=1}^n \sigma_i (h )) ^{\prime}
\end{equation}
}
となる。 \prod_{i=1}^n \sigma_i (g_j ) ,\, \sum_{i=1}^n \sigma_i (h )はすべての  \sigma_k で不変であることから、 Kの元となります。(ガロア理論でいうとノルムとトレースになっている。)よって、
 { 
\displaystyle
\begin{equation}
\qquad  a = \sum_{j=1}^m \frac{c_j}{n} \frac{(\prod_{i=1}^n \sigma_i (g_j ) )^{\prime} }{\prod_{i=1}^n \sigma_i (g_j) }+\left( \frac{1}{n} \sum_{i=1}^n \sigma_i (h ) \right) ^{\prime}
\end{equation}
}
と書けるので、(ii)が成り立つ。


次に、 l Kの指数または対数の場合を考える必要があります。 lが代数的な場合は示せているので、 lは超越的と仮定します。よって、 lの有理関数で書けるので、 g_j = q_j (l) ,\, h = r(l) \in K(l)とします。特に、有理関数 q_j (l)の分母と分子を既約分解し式(2)に代入すると、 q_jmは変化しますが、再び式(2)の形の式になります。そこで始めからq_j (l)はモニックで既約な多項式と仮定します。その上で、 lが指数の場合と対数の場合で場合分けします。
ここで以下の記事の命題を用いるので、そのときは「前記事の命題より」と述べます。
tetobourbaki.hatenablog.com


(b)  lKの対数的な元、つまり、 l^{\prime} = k^{\prime}/k ,\, k \in Kのとき。
 q_j(l) \notin Kと仮定し次数を n > 0とおくと、 l^{\prime} \in Kかつ p(l)がモニックだから、前記事の命題より (p_j (l))^{\prime} \in K[l ]  n - 1次の多項式になります。しかし、補題より  (p_j (l) )^{\prime}  p_j (l)で割り切れるはずなので、矛盾します。よって、すべての q_j Kの元です。
一方、式(2)から (r(l))^{\prime} \in Kとなります。再び前記事の命題を使うと、 r(l) \in K[ l] であること、さらに、 r (l) = c_0 l + k_0 ,\, c_0 \in C ,\, k_0 \in Kと書けることがわかります。
よって、式(*)は
 { 
\displaystyle
\begin{equation}
\qquad a = \sum_{j=1}^m c_j \frac{g_j^{\prime} }{g_j } + c_0 \frac{k^{\prime}}{k} +k_0^{\prime}
\end{equation}
}
と書けるので、示すべき式が得られた。


(c)  lKの指数的な元、つまり、 l^{\prime}/ l = k^{\prime} ,\, k \in Kのとき。
 q_j (l) \notin Kと仮定すると、補題より (q_j (l))^{\prime}  q(j)で割り切れる。よって、前記事の命題より、 q_j(l)は単項式となる。さらに、これが既約なので、 q_j(l) = lである。以上より、すべての q_j (l) Kの元か lである。
いずれにせよ、  (q_j (l))^{\prime}/ q_j (l) Kの元なので、式(*)から (r(l))^{\prime} \in Kとなる。再び前記事の命題より、 r (l) \in Kでなければならないことが分かる。
以上より、 q_j (l) = lとなるものだけ Kの元ではないが、その場合は c_j (q_j (l))^{\prime}/ q_j (l) = (c_j k)^{\prime}となるので、示すべき式で書けることが分かる。

以上でLiouvilleの定理の証明が終わりました。


さて、Liouvilleの定理(素朴な主張)は、 K = \mathbb{C} (x ,\, y_1 ,\, \dots ,\, y_n)とおき、Liouvilleの定理(微分体による定式化)を適用することで示されます。 y_1 ,\, \dots ,\, y_n微分に関する仮定は、 K微分で閉じるために必要な仮定です。

Liouville判定法とその証明


まず、微分代数によるLiouville判定法を述べます。いくつか仮定があるが、微分代数で定式化したために出てくる仮定であり、あまり気にしなくても大丈夫。

Liouville判定法
微分体の指数的拡大 E \subset K = K (e^g)を考える。 a E上超越的とする。 E ,\, Kの定数体は一致するとしCとかく。
このとき、 f \in Eに対して、以下が同値である。
(i) 定数体が Kの定数体  Cと等しい微分体による初等拡大
 
\qquad K = K_0 \subset K_1 \subset \dots \subset K_{N-1} \subset K_N
が存在し、 h^{\prime} = f e^g となる、 h \in K_Nが存在する。
(ii) ある元 a \in Eが存在して、

\qquad f = a^{\prime} + a g^{\prime}
と書ける。

少し、コメントしておきます。Liouvilleの定理より、原始関数があるかどうかは、条件を満たす Kの元があるかどうかで分かるのですが、Liouville判定法の主張の良さは、 Kそれより小さい体  Eの元の条件に簡単化している部分にあります。


(証明) (ii)  \Rightarrow (i) は (ae^g)^{\prime} = a^{\prime} e^g + a g^{\prime} e^g = (a^{\prime} +ag^{\prime} ) e^g = fe^gより分かる。

(i)  \Rightarrow (ii)を示す。Liouvilleの定理より、
 
\displaystyle 
\qquad fe^g = \sum_{j=1}^m c_j \frac{q_j^{\prime} }{q_j} + r^{\prime} \quad  (3)
となる  c_j \in C ,\, q_j ,\, r \in Kが存在する。 E \subset K = E (e^g)が指数的拡大であり、e^g E上で超越的なので、Liouvilleの定理の証明の(c)と同様の手順により、すべての q_j^{\prime} /q_j Eの元である。また、補題の証明のように、 rの既約分解を考え \frac{p(e^g)}{(q(e^g))^d}という項がある場合、 r^{\prime}には

\displaystyle
\qquad \frac{-d p(e^g)(q (e^g) )^{\prime} }{(q (e^g))^{d+1}} + \frac{(p(e^g))^{\prime} }{q (e^g)}
であるが、

\displaystyle
\qquad \frac{-d p(e^g) (q (e^g) )^{\prime} }{(q (e^g))^{d+1}} = \frac{-d p(e^g )q^{\prime} (e^g) g^{\prime} e^g }{(q (e^g ))^{d+1}}
となる。 q^{\prime} (e^g) q (e^g )より次数が1低いe^gに関する多項式であることと、 q (e^g )が既約であることから、右辺に分数が現れないためには q (e^g) = e^gでなければならないことが分かる。よって、 r = \sum_{i=-s}^t a_i (e^g)^i ,\, a_i \in Eと書ける。式(2)の e^gの係数を比較すれば、

\qquad f = a_1^{\prime} + a_1 g^{\prime}
が得られる。

さて、このLiouville判定法を有理関数体に適用すると、普段の積分で使える定理が得られます。
Liouville判定法(実用バージョン)
 C = \mathbb{C} または  \mathbb{R}とする。有理関数 f(X) ,\, g(X) \in C(X)に対して、以下が同値:
(i) 初等拡大
 
\qquad E = K_0 \subset K_1 \subset \dots \subset K_{N-1} \subset K_N
が存在し、 h^{\prime} (X) = f(X) e^{g (X)}となる、 h(X) \in K_Nが存在する。
(ii) ある元 a (X) \in C(X)が存在して、

\qquad f(X) = a^{\prime} (X) + a (X) g^{\prime} (X)
と書ける。


この定理の使い方は過去記事で書いています。Liouvilleの定理やLiouville判定法の証明からは、もっと多くのことが分かります。これを掘り下げると数式処理で積分を計算するRischのアルゴリズムを得ることができます。

感想と参考文献

ほえー。記事自体は思ったよりすぐに書けたのですが、証明を調べたりするのがなかなか大変でした。ただ、調べる過程でさらにいろんなことが分かってきました。Liouville判定法は f(x) e^{g(x)}の原始関数の存在を判定しますが、 f(x) \log xの原始関数を調べるLiouville-Hardyの判定法というものもあります。これにより a \neq 0のときに \displaystyle \frac{\log (x)}{x - a}の原始関数が初等関数で書けないことが示せます。この積分にはポリログ関数が関係しており、それ自体も面白そうです。Liouville-Hardyの判定法はLiouvilleの定理の特別な場合をHardyが考えただけですが、Hardyはかなり計算を省略しているので、証明がまだ分かりません。(これを解説した数少ない論文もあったのですが、明らかなミスがあり全然役に立ちませんでした。)今回の記事で興味を持たれた方は、ぜひ参考文献にあたって調べてみてください。

積分が初等関数で書けるというのは、微分ガロア理論を使わずとも微分代数だけで示すことができます。このことを確認するのが一連の記事の目的でした。でも、やはりガロア群が僕の興味の対象なので、しばらくは初等関数の話から離れます。微分ガロア群の記事や、もっと広く(高校〜大学程度のレベルで)興味を持ってもらえる記事を書きたいなと思います。

参考文献
R. C. Churchill, "Liouville's Theorem on Integration in Terms of Elementary Functions"
G. H. Hardy, "The Integration of Functions of A Single Elementary Variables"
E. A. Marchisotto, G. Zakeri, An Invitation to Integration in Finite Terms"
M. Rosenlicht, M. Singer, "On elementary, generalized elementary, and Liouvillian extension fields"