ガウスの超幾何方程式が代数解を持つものは、シュワルツによりリスト化されています.ここで、リストの右の付加条件が気になります.実はこの条件は方程式を簡単なものに変換するための条件と関係するのです.つまり,整数の差はおおむね無視することができるのです.今回はこの変換について簡単に説明します.参考文献 河野実彦『微分方程式と数式処理』(図もこの本から引用したものです)
前提知識
リーマンのぺー関数 は特性指数をもちいて
のように書かれるが,ブログでこれを書くのは大変なので簡略化して
と表すことにする. をかけると、
となる.そこで,特性指数の差 とおくと、
と書ける.ここで、フックスの関係式より, と定まる.この形の解(つまり、 の特性指数のうち一つは となるもの)を持つ方程式はガウスの超幾何方程式である.また,特性指数の差 で完全に特徴づけることができることも分かる.ただし,差を取るときの順序はどちらでもいいので, のどれかに を書けても同じ方程式を表してると思える.
さて,独立変数に一次分数変換をほどこすことで,特異点 は別の3点に移すことができる.特に, を位置を入れ替えてもよく,それは特性指数の差を入れ替えてもいいことを意味する.
基本操作
主結果の証明で使う性質を紹介する.証明は面倒であるが、特性指数が解の先頭項のべきを表していることを思い出せば,成り立つことは納得ができるものばかりである.
この操作を
のように書くことにする.
後者の公式は, とおいて を思い出せば, を入れ替えて前者の公式を使ったものだと思える.
証明
特性指数の差が と書けるとする.
が偶数ならば,特性指数の差が となる方程式に変換することができる.
さらに, のいずれかが ならば が奇数でも変換することができる.
(証明)
まず、特性指数の差に をかけてもいいことから, としてもよい.また,特異点の位置を交換することで, としてよい.
以上により特性指数の差が から に移る.そこで,
とおけばいいが, は微分の回数だったので非負の整数でなければならない.まず, より非負であることが分かる.また, が偶数だったので, が整数であることが分かる.以上により, から へ変換できた.まとめるとここで行った変換は,
という変換を行っている.
最後に, の場合で が奇数の場合を考える.
すると特性指数の差は, から と移るので,これから見れば は偶数となり、同じ変換を行うことができる.