突然ですが、なぜ(不定)積分は便利なのでしょうか?
それは定積分が計算できるからです。
が の原始関数であるとしましょう。つまり、
としましょう。すると、 の定積分は
と計算できるのでした。これは高校では定積分の定義であって役に立つもなにもないのですが、そういう立場だとしても積分で面積が求まるわけだから役に立つわけです。
こんなわけで、(不定)積分が計算できるようにしておくと定積分が簡単に計算できるから、みんな勉強させられるわけです。
実は数列の和も同じ考え方ができるのです。
差分
微分の代わりに差分という作用素を定義します。
関数 の差分 を
と定めます。
例えば、
となります。多項式の差分を取ると次数が下がるのは微分と同じですが、微分と違ってゴミの項が残ってしまいます。
そこで、差分と相性のいい関数を定義します。
階乗関数 を
と定める。
例えば、
のようになっています。
階乗関数に対しては、
となっていることが分かります。多項式は階乗関数の一次結合で書けるので、多項式の計算でも階乗関数の計算に言い換えることができます。
また、指数関数の差分は
となっている。特に、 のとき、 となっています。
(指数関数は差分の固有ベクトルと覚えておくと分かりやすい)
ちなみに、 とは のことなので、周期関数のことになります。
つまり、差分でゼロになるのは定数だけではないことに注意してください。
和分
さて、微分における原始関数と同じものを和分に対しても考えましょう。
となる関数 を の和分といい、 を と表すことにします。
不定積分の積分定数と同様 は周期関数分の不定性がありますが、以下では重要ではないですし、抜けた議論は個人で簡単に補完できるできると思うので気にしないことにします。
上で見た差分の式により、 のとき
のとき
であることが分かる。
ここはややこしいので、和分 の差分をとると に戻ることを確認するようにするとミスが少ないです。
これは、積分 の確認するときには余計なことを考えず、微分して に戻ることを考えた方がいいのと同じです。
数列の和を和分で求める
さて、準備が終わりました。数列の和を求める方法を考えます。
を求めたいとします。このとき、 の和分が だと分かっているとします。
つまり、 であるとします。すると、
と計算ができます。
例
を求める。 なので、
となる。
例
に対して、 を求める。
と分かる。
( のときは2進数の特殊性を表している気がする。。。)
参考文献
西岡斉治『代数的差分方程式』
この本を読むと、三角関数などもっと多くの例も知ることができます。