記号の世界ゟ

このブログでは, 数学書などの書評を書きます。また、受験などの勉強法をまとめます。

あたりまえだけど、とても大切なこと

タイトル あたりまえだけど、とても大切なこと 子どものためのルールブック

著者 ロン・クラーク

訳者 亀井よし子

出版社 草思社

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ルール1 大人の質問には礼儀正しく答えよう

ルール4 人の意見や考えを尊重しよう

ルール15 宿題は必ず提出しよう

などなど・・・

これらは小さいときに、親や先生から何度も言われてきたのではないでしょうか?

この本は、アメリカの素晴らしい小学校教師であるクラークさんが、小学校の担当クラスで実際に採用しているルールを、感動的なエピソードとともに紹介するものです。

 

クラークさんは、ここで紹介するルールは単に学校生活のためではなく、子ども達の将来のために身につけるべき習慣であると考えています。

例えば、ルール1は、人に対して敬意を持って接すること、そのことは大人とコミニュケーションをとるための便利な「道具」であるとの考えからきたものです。

この本で書かれているルールは、人のため自分のためになるものばかりだけど、ついつい忘れがちのことばかりです。

実際、この本を読んでずいぶん考えさせられました。

これらのルールを実行できる人が増えれば、世界はもっと幸せになるでしょう。

人間愛が詰まった本だと僕は思います。

 

この本を魅力的にしているのは、クラークさんの人間性と実際の教員生活で出会ったエピソードでしょう。

小学校ですから、思わぬ困難もあるのですが、クラークさんがどう立ち向かったか、小学生と共にどのように乗り越えていったか。

ルールの大切さがエピソードによって引き立っています。

学校を離れた日常生活での、クラークさんの個人的なエピソードも印象的なものが多いです。

 

僕は、たくさんの人にこの本を読んでほしいと思います。

子どもではなく、むしろ大人で必要とする人が多いでしょう。

そして、この本が人生の指針となることでしょう。

おまけ

教育に興味がある人や教員の人は

ルール42 学校に<ドリトス>をもってこない!

というルールについて考えてほしいと思います。

このルールは教育実践において大切な視点があり、また非常に応用がきくものであると思います。

このルールの意図が気になったら、ぜひこの本を手にとってください。

 

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関数論の古くて新しい視点 アンリ・カルタン「複素関数論」

タイトル  Elementary Theory of Analytic Functions of One or Several Complex Variables

著者 Henri Cartan

出版社 Dover

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 私が複素関数の面白さに目覚めた本

ブルバキのメンバーのアンリ・カルタンによる複素関数論の本です。
 特徴としては、
  1. 形式ベキ級数の理論をフルに使った導入
  2. 微分形式を前提にした積分
  3. 多変数関数, 楕円関数, 微分方程式と様々な話題が書かれている
などが挙げられます。英語の本ですが翻訳もあるみたいです。
 

内容

 日本の講義や本では形式ベキ級数の理論があまり扱われないと思います。
形式ベキ級数とは収束するとは限らない級数であり, その中でも収束する(収束半径が0でない)ものが複素関数論の主役です。
複素関数では正則な(微分可能な)関数は解析的なので, 形式ベキ級数の方が正則関数よりも一般的な概念となっていることにも注意してください。
一般的と言っても, ベキ級数だけで, 可逆元, 逆関数, 微分などの理論が簡単に扱えます。
その特殊なケースとして正則関数を考えることで, より正則関数の特徴を明確に理解することができます 。
 
数学の他の分野の理論が関数論でいかに使われるかということを知ることができます。
逆に言うと、想定する前提知識が少し多く、この本の欠点ではあるでしょう。
環や体の言葉を少し知っていないと読み辛いかもしれません。 
また、積分微分形式が使われているのは, この本を読む上で少しハードルになっているかもしれません。
また, 様々な話題が書かれていると言っても, 紹介だけで終わっているものもあります。

 まとめ

  • 新しい見方ができるようになる
  • 様々な話題を知ることができる
  • 複素関数論のテキストの1冊目としては難しいかも
複素関数論の2冊目の本としてはこれ以上のものは無いのでは?
このような素晴らしい本が安く買えるのはDoverの魅力ですね。

 

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