記号の世界ゟ

このブログでは, 数学書などの書評を書きます。また、受験などの勉強法をまとめます。

2017-01-01から1ヶ月間の記事一覧

微分環と双対数

微分環は、環の構造に加えて微分を考えているものでした。双対数を用いると、微分環は単なる環の議論に言い換えることができるということを知りました。けっこう感動したので、まとめておこうと思います。 双対数の定義 微分環と双対数 双対数の応用:微分を…

微分体の応用(Schanuel予想もあるよ)

今回は微分体の応用として、と が有理関数体 上で超越的であることを見ていきます。 実は、今回の内容はLiouvilleの定理の証明の準備になっています。 (というより、Liouvilleの定理の証明が大変なので、記事を分けることにした次第です。) おまけとして、と…

【書評】求積法のさきにあるもの

今回は磯崎洋『求積法の先にあるもの 微分方程式は解ける』を紹介します。 簡単に読めるが、なかなか難しいことまで書いてる良書です。求積法のさきにあるもの: 微分方程式は解ける作者: 磯崎洋出版社/メーカー: 数学書房発売日: 2015/03/15メディア: 単行本…

不定積分が初等関数で表せないものについて(Liouvilleの定理)

ご存知の方も多いように、やの不定積分は高校で習うような関数(初等関数)では書くことができません。 今回は、このことを証明するために使われるLiouvilleの定理とその応用を紹介します。 今回の内容では、Liouvilleの定理の証明や"初等関数で書けない"と…

初等関数で書けないとは、どういうことか

の不定積分は計算できない、 もっというと、初等関数では原始関数が書くことができないと言われます。 今回は"初等関数で書ける"ことの厳密な定義を述べます。 微分体の復習 "初等関数で書ける"の直感的な意味 "初等関数で書ける"ことの微分体による定式化 …