記号の世界ゟ

このブログでは, 数学書などの書評を書きます。また、受験などの勉強法をまとめます。

2020-01-01から1年間の記事一覧

『TIS-100』オリジナルプログラム言語によるパズル

これは以下のアドカレ12/15用の記事です。adventar.org今回は『TIS-100』を紹介します。 このゲームはオリジナルプログラミング言語で問題を解くゲームです。 store.steampowered.com問題例を貼っておきます。 左の数列が上から流れて来るので、ノードで加工…

『SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル』備忘録

『SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル』はすごくいい本なのですが、久しぶりに読み直すと忘れてしまってる内容が多いです。 分量も多いので、特に読み返したい章をメモっておきます。 「ソフトウェア開発者」をターゲットにした本ではあるもの…

解けるの三様~可積分系を学ぶ際の注意点~

数学において、「~は解ける」「~は解けないと証明されている」などと気軽に言われます。例えば、「三体問題は解けないと証明されている」などです。しかし、「解ける」はいろんな意味で使われることが多く、定義を確認しておかないと、ほぼ情報のない文章…

超幾何方程式の特性指数の差をずらす操作について

ガウスの超幾何方程式が代数解を持つものは、シュワルツによりリスト化されています.ここで、リストの右の付加条件が気になります.実はこの条件は方程式を簡単なものに変換するための条件と関係するのです.つまり,整数の差はおおむね無視することができ…

特異解のある方程式について

常微分方程式の一般解や特異解という用語は、ときどき教科書に説明があったりするものの曖昧なことが多いです。 微分代数的な定義は西岡『微分体の理論』やRitt, "Differential Algebra"などに書かれていますが、この定義は非常に抽象的で意味が分かりづらい…

Picard-Vessiot拡大の存在証明

代数的なガロア理論におけるガロア拡大は,微分ガロア理論ではPicard-Vessiot拡大と呼ばれるものになります.特に拡大で定数体が変わらないことが重要なのですが,その部分の証明で普通の微分ガロア理論の本ではシュバレーの定理を用いることがほとんどです…

有理関数体と付値

一変数代数関数体の理論は非常に有用であるものの,定義や定理のイメージを持つことが難しいと思います.今回は複素係数の有理関数環 の場合に考えることで,それを元に一変数代数関数体で何を議論するのかというのを紹介しようと思います.普通に数学をやっ…

BCH公式をMould解析で証明する

指数関数の公式 がありますが,行列のように が可換でないときにはこの公式は成り立ちません. がどのようになるかを教えてくれるのがBaker–Campbell–Hausdorffの公式(BCH公式)です.(正確には,式を陽に書き下したディンキンの公式を扱います.)証明は…